松村理事長からコラムのバトンをいただきました。新米副理事長として、学会の業務内容や関わっている事業について新しく知ることばかりの一年弱でした。
そんな中、個人的な話で恐縮ですが、第6波でとうとう我が家にCOVID19がやってきました。一番下の息子が高熱を出し、私も含め家族全員がPCR検査を受けることとなりました。熱を出した当人以外は陰性でしたが、感染拡大の最中で保健所からの連絡もすぐには来ず、自分も含めた家庭内の水平感染制御が目下の問題として持ち上がりました。まずは3密回避です。患者(息子)のお世話要員として私が選ばれ、残りの家族は10日間別に暮らすこととなりました。次はゾーニングで、狭い家の中で息子と私の動線を徹底的に分離し、トイレ・洗面も分け、食事も別々にしました。さらに手指衛生が重要です。自分で決めたグレー以上のゾーンに入った後には、WHOの5 momentsを念頭に徹底的に手指消毒を行いました。何とか陽性者との10日間を乗り切ったわけですが、つくづく思ったのは感染対策室の方から教えていただいていた対策の有効性です。効果があり意味があるルールが病院にはしっかりあったのだと再認識しました。そういう意義のある対策がある一方、飲食店の酒類制限や営業時間制限などは、共感を得るにはややわかりにくいルールと思います。両者の違いは何でしょう。医療安全のルールでは、実行する人が意義を実感できるものはどれだけあるでしょうか?ダブルチェック?口頭指示禁止?どこか他人事な決め事が多いかもしれません。「感染したくない」という自分事にしないと持続的に実行し続けるのは難しいと改めて感じました。
副理事長としてWHO世界患者安全の日のキャンペーンに関わってきました。周産期安全というこれまで本学会ではあまり取り上げてこなかったテーマで、外部の先生方と協働し多くの学びがありました。中でも驚いたのは、出生後直ちに新生児に処置が必要になった時にチームの誰もが対応できるようにというN-CPRという教育プログラムの普及です。2007年から始まりすでに6万人以上が受講し、全国の分娩施設をほぼ網羅しているということです。N-CPRの提供している決め事が意義のあることであり、赤ちゃんの無事を関係者が自分事と考えられて初めてそれだけ普及したのだと思います。
感染対策や周産期医療から、守ろうと思えるルールに必要な要素について教えていただきました。本学会の一員として、意義(エビデンス)の創出や、自分事と考えられる医療システムのあり方を検討するよう皆様と取り組んでまいりたいと思います。
 今回は副理事長が担当いたしました。次回は 辰巳先生です。乞うご期待!
安田 あゆ子:医療の質・安全学会 副理事長
       藤田医科大学病院 医療の質・安全対策部 医療の質管理室