医療の質・安全学会 教育委員長を務めさせて頂いております、北里大学病院の荒井有美です。私は、薬剤師、看護師の実務経験を経て、医療安全管理の世界に入りました。このキャリアについて「稀有な経歴ですね」と言われることがあります。この2つの職域での実務経験を大切に、医療に関係する全ての方々とともに、日々、医療安全管理に取り組んでおります。

本学会の教育委員会は、「医療安全管理者養成研修会」を企画・運営しています。本研修会は、近年の医療がそうであるように、様々な職種がそれぞれの役割に応じた医療安全対策に取り組んでいることを念頭に、参加者同士がコミュニケーションを図れるよう、講義形式でありながら体験型のアクティビティを取り入れることを特徴としています。そのため、講師陣も多彩であり、さまざまな分野の第一線でご活躍されている方々です。

セーフティマネジメントにおいて、専門職間のコミュニケーションは重要な要素です。専門分野が異なると認識や常識が著しく異なり、その違いがミスにつながることはよく知られています。一方、医療は専門職同士の連携によって展開されます。さまざまな専門性が結集することによって多角的な視点が与えられ、問題解決の糸口を見つけやすくします。これはまさにチーム医療のメリットと言えるでしょう。各々の役割に応じた取り組みも重要ですが、専門職同士の専門性が重なり合い干渉し合う部分も、医療安全対策にはとても重要と思います。

転職を決意したとき、上司から “転がる石は苔むさない―動き回る者には能力は身につかない”と諭されました。確かに、私のキャリアは、ひとつの専門性においては中途半端なのかもしれません。しかし、「稀有」な臨床経験は、医療安全管理者として貴重なものであると自負します。このことわざには、「活動的に動き回る者は能力を錆び付かせない」という意味もあることを後で知りました。“コケ “の捉え方によって意味が変わってくるように、ものの見方、考え方を変えるだけで、状況は大きく変わることがあると思います。患者さんに安全な医療を提供するために、医療に関係する全ての方々医療安全対策に向けて積極的に取り組むことが必要です。これを念頭に置きながら、研修会を企画していきたいと考えています。ぜひとも多くの方々のご参加をお待ちしております。