各受賞者のコメントをご紹介いたします。
第11回 上原鳴夫記念研究奨励賞
●最優秀賞 吉田 光一
「調剤・鑑査をサポートするIT システムの導入は調剤過誤を減少させ患者安全の向上に寄与する」
この度は、第11回上原鳴夫記念研究奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。
選考委員会の先生方をはじめ、学会関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
本研究は、今回の学術集会テーマである「サステイナブルな質の改善と患者安全」とも深く関連するものであります。
薬剤師不足が課題となっている昨今の医療現場においても、IT機器の導入により業務効率を高め、持続可能な過誤対策を実現することで、医療の質向上に寄与できることを示した一例と考えております。
本研究が、今後多くの施設での取り組みの一助となりましたら幸いです。
最後に、これまでご指導・ご助言を賜りました先生方、ならびに本研究を支えてくださった皆様に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。
●優秀賞 藤本 学
「本邦の総合病院における医療者の破壊的行動の実態」
このたびは第11回上原鳴夫記念研究奨励賞優秀賞という栄誉を賜り、心より御礼申し上げます。
本研究は、本邦の総合病院における医療者間の破壊的行動(DCB)の被害実態を明らかにし、医療安全文化の改善に向けた課題を可視化したものです。
これまでDCBを全国に周知するべく、各地の医療安全講習にて講演を行い、「職場の当たり前が当たり前ではない」ことを知っていただいてきました。
しかし、「知っている」だけでは現場は変わりません。
そこで講演と並行して、心理的安全性を高め合う対人スキルのオンライン研修に取り掛かっています。
今回の受賞を励みに、研究と実践の双方から医療の質・安全の向上に貢献していく所存です。
●若手奨励賞 井上 千穂
『我が国の看護師が捉える「不穏」について』
この度は、第11回上原鳴夫記念研究奨励賞 若手奨励賞という大変光栄な賞を賜り、誠にありがとうございます。
査読の先生方、学会関係者の皆様、そして調査にご協力くださった皆様に深く感謝申し上げます。
本研究では、我が国の看護師が捉える「不穏」の意味や判断の根拠を明らかにしようと試みました。
不穏は患者の安全やケアの質に直結する重要な兆候でありながら、現場では曖昧なまま扱われることも少なくありません。
看護師が不穏という用語をどのように使い分け、どのように患者の変化を捉えているのかを知ることは、安全な看護実践に寄与すると感じ、本研究に取り組みました。
今回の受賞は、研究を続ける大きな励みとなりました。今後も臨床の疑問を大切にしながら、不穏の理解や安全なケアにつながる研究を進めてまいります。
●優秀英文論文賞 森脇 睦子
「Factors associated with proximal femoral fractures in older adults during hospital stay: a cross-sectional study」
第11回上原鳴夫記念研究奨励賞を賜り、心より御礼申し上げます。
推薦いただきました先生をはじめ、学会関係者の皆様、本研究の遂行にあたりご助言を賜りました共著者の鳥羽三佳代先生、伏見清秀先生、梯正之先生、尾林聡先生に深く感謝申し上げます。
本論文(Factors associated with proximal femoral fractures in older adults during hospital stay: a cross-sectional study. BMJ Quality & Safety 2025 Mar 19;34(4):234-243)は、当院の医療安全部門のナースによる「日々の患者の状態を捉え、転倒・転落のリスクを測れないか」という現場の声から始まりました。
この発想をもとに、単施設での検討(日本医療・病院管理学会誌 56(2) 49-59, 2019)を経て、多施設分析(本論文)へと発展させるに至りました。
近年、研究において「臨床現場にどう役立つのか」が強く求められています。
日々の実践をエビデンスへとつなげるために、小さな積み重ねを大切にし、今後も継続して研究活動に取り組んでまいります。
引き続きご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
この度は、名誉ある賞を賜りましたこと、改めて深く御礼申し上げます。
●国際学会発表奨励賞 和足 孝之
「Disruptive Behaviors Encounters by Residents in Post Graduate Training: a cross-sectional national survey」
このたびは、上原鳴夫記念研究奨励賞という過分な栄誉を賜り、心より御礼申し上げます。
本研究は「大規模病院ほど、初学者である研修医への当たりが強いのではないか」という素朴な疑問を出発点として実施いたしました。
全国横断調査の結果、研修医に対する看護師のDisruptive Behaviors(問題行動)は様々な関連要因を調整後も病床数が多くなるほど増加し、看護師1人あたりの入院患者数と正の相関を示し、さらには男性がより被害に遭いやすい傾向を可視化できた点に、卒後教育上の意義があると考えます。
今後も研修環境の改善と医療の質・安全の向上に微力ながら貢献していく所存です。ありがとうございました。
●国際学会発表奨励賞 新谷 拓也
「“Seven guideposts to make correct things easier to do” for Safety-II practice」
このたび、第11回上原鳴夫記念研究奨励賞 国際学会発表奨励賞を頂き、大変光栄に存じます。
本研究は、ノルウェーで開催された Resilient Health Care Society Summer Meeting 2024 において、Safety-IIの概念を医療現場で実践するための7つのガイドポストを提案したものです。
本学会では、日本の医療現場における実践例をもとにレジリエンス・エンジニアリング理論の専門家と意見交換を行い、研究成果を国際的に共有することができました。
今回の受賞を励みに、今後も研究と実践を継続し、医療の質と安全の向上に貢献してまいります。
ベストプラクティス賞
●最優秀賞 田村 宏美
「安全な術前確認と手術室への引継ぎを目指して ~患者との協働を目指した入室時チェックリストの改定~」
この度は栄えあるベストプラクティス最優秀賞を賜り、誠に光栄に存じます。
私達の取組を評価頂けたことは、望外の喜びです。この受賞は、日頃からご指導頂いた諸先輩方、共に活動を推進してきたチームメンバーの協力あっての物であり、関係者の皆様に心より感謝いたします。
私自身、2年前に医療安全管理者から再び現場に戻り、繰り返されていたインシデントケースを実際に現場で目にした時に、術前準備ができていない状態は患者に大きな負担になっていることがわかり、協働することで解決できると考え今回の活動となりました。
本活動が、学会の掲げる「サステイナブルな質の改善と患者安全」 に微力ながらも貢献できるよう、引き続き努力を重ねてまいる所存です。
●優秀賞 保木本 崇弘
「患者の活動を評価するモビリティスケール導入の試み」
関わっている多くのスタッフの皆様に感謝申し上げます。
院内で活動レベル向上の意識が広がり、取り組みの有効性を感じました。
本受賞を励みとし、患者さんが安全に質の高い医療が受けられるよう今後の活動に生かしたいと思います。
●優秀賞 梶田 貴司
「高リスク薬剤に対する検査値照合の標準化と医療DX実装に向けたシステム導入の試行」
このたびは、ベストプラクティス賞 優秀賞に選出いただき、誠に光栄に存じます。
本取り組みは、高リスク薬剤の検査値確認を“人の注意に依存する作業”から脱却させ、医療DXを通じて安全性と効率性を高めることを目的として進めてまいりました。
検査値と処方情報を自動照合する仕組みを構築し、確認作業の標準化と現場の負担軽減を実現したことは、DXが医療安全に寄与し得る可能性を示す成果と考えております。
今回の受賞は、多職種の協働と現場の皆さまのご尽力の賜物であり、深く感謝申し上げます。
今後も、現場から生まれる課題に対し、デジタル技術を活用した改善を積み重ね、安全で質の高い医療の実現に貢献してまいりたいと存じます。
●優秀賞 宮本 直武
「入院患者の転倒・転落後における重症頭部外傷の早期発見と見逃し防止を目的とした対応プロトコールの開発と導入効果」
この度は、栄えあるベストプラクティス賞を賜り、心より感謝申し上げます。
医療安全における転倒・転落への対策は、皆様と共に取り組むべき永遠のテーマです。
今回、私たちは「転倒後の標準対応」に着目し、全職員が統一した行動をとれるプロトコールをシステム化いたしました。
この取り組みは、レトロスペクティブな検証の結果、調査期間中の206件の転倒から、無症状の頭蓋内出血5件を12時間以内に発見するという、極めて重要な成果をもたらしました。
予後に大きく影響する病変の早期発見は、患者様の安全に直結する大きな一歩です。
今後は、このプロトコールの更なる効率化と精度向上に努めるとともに、これを転倒転落後における標準的な対応として国内に広く普及させることに貢献してまいります。
皆様と共に、エビデンスに基づいた医療安全の進展に一層邁進していく所存です。
引き続きのご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
●特別賞 平井 理心
「カスタマーハラスメント対応の教育と実践 ―1年間の活動からみえてきた課題―」
このたびは身に余る賞を頂戴し、驚きとともに、現場で奮闘してきた仲間たちの顔が次々と思い浮かびました。
カスタマーハラスメントへの対応は、ときに心が折れそうになるほど難しい場面もありますが、職員一人ひとりが患者さん・ご家族等に誠実に向き合い続けた日々こそが、今回の成果につながったと感じています。
決して特別なことをしたわけではなく、「困っている職員を一人にしない」という、当たり前だけれど大切な思いを、皆で形にしてまいりました。
この受賞を励みに、これからも“患者にも職員にも安心安全な病院”を目指して、笑顔で一歩ずつ進んでいきたいと思います。
安全を支える技術展
●選考委員会奨励賞 New V-Key Technology CO., LTD./株式会社HST
「Shieldy Snap SS-99」
この開発は、ある尊敬する先生との「生体情報モニタでのFalse Alarmが多すぎる事への対応」についての約束から始まりました。
長い時間を要してしまいましたが、そして、アラーム問題にはまだまだ先はありますが、半分くらいは約束を果たせたのではと少しホッとしています。
このような賞をいただいたことで、新たな責任と、そして更なるチャレンジへの励ましまでいただいたような気がしています。
本技術が「心電図ノイズ抑制の新たな標準」として、世界中のすべてのモニタに採用されFalse Alarmが削減し、そして診断のための信号の質も向上し、、、、そんな事を、ワクワクしながら考えています。
有難うございました。
●特別賞 カーディナルヘルス株式会社
「NIRC™ 蛍光尿管カテーテル」「NIRC™蛍光尿道カテーテル」
この度は、第20回医療の質・安全学会学術集会「安全を支える技術展」において特別賞を賜り、誠にありがとうございます。
カーディナルヘルス株式会社は「Think Safety」を掲げ、医療現場の安全性向上に貢献する製品開発を続けています。
外資系医療機器メーカーでありながら、日本国内に開発拠点を設け、製造も国内で行うことで、高品質かつ信頼性の高い製品を提供して参りました。
今回の受賞を励みに、患者と医療従事者に安心を届ける技術革新に、今後も全力で取り組んで参ります。
●特別賞 テルモ株式会社
「テルフュージョンスマートポンプ10シリーズ」
この度は選考委員会特別賞を賜り、誠にありがとうございます。
スマートポンプ10シリーズは、医療現場の安全性向上と業務効率化を目指し、RFIDによる薬剤自動認証や薬剤ライブラリの自動設定、誤投与防止機能など、現場の声を反映した先進的な機能を搭載しています。
少子高齢化や医療従事者の負担増といった課題に対し、医療スタッフが安心して業務に集中できる環境づくりに貢献したいといった思いが詰まった本製品についてご評価いただけたことを大変嬉しく思います。
今後も医療現場のニーズに寄り添い、より安全・安心な医療デバイスの開発に努めてまいります。
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